この記事では、過去100年間の東京の月別平均空気温度・エンタルピーをヒートマップで可視化した例を紹介します。
可視化に使用したPythonパッケージのpythermalcomfortについても記載しています。
空気温度の可視化
気象データは、こちら(気象庁のwebサイト)より、東京の過去100年の月別平均空気温度を入手して使用しました。
今回は、Python、pandas、Matplotlib、seabornを使用してヒートマップを作成しました。
下のヒートマップは、1921-2020年の月の平均空気温度を表したもので、縦軸は月、横軸は年を示しています。
子供の頃と比べると暑くなってきたなと体感はあったのですが、この100年で空気温度は少しずつ高くなっているのが可視化されています。
上のイメージは0-40℃でカラー分けしているので、24-40℃のパターンでも可視化してみました。
こちらだと、夏季の月別平均空気温度がこの100年間で上がっているのがよりわかりやすいです。
東洋経済ONLINEにて、夏の日別平均温度を可視化したものが公開されています。
リンク先では夏の日別平均空気温度をヒートマップにしており、暑くなっていることがより顕著に読み取れます。
エンタルピーの可視化
空気温度は徐々に上がってきていることはわかったのですが、エンタルピーも同様の傾向か確認してみました。
比エンタルピー(単位はkJ/kg(DA))は、乾き空気1kgあたり何kJのエンタルピーか表しています。空調設計などでなじみのある指標です。
エンタルピーは、気象庁のwebサイトより入手した月別の平均空気温度、相対湿度をもとに算出しました。計算に使用したPythonパッケージのpythermalcomfortは、記事の後半で紹介しています。
空気温度と同様に、エンタルピーも100年前と比べると上がってきているのが読み取れます。
カラー分けの範囲を狭めたものが下のイメージです。
エンタルピーを月別の平均から算出するのは荒い手法ですが、エンタルピーも空気温度と同様に上がってきている傾向が掴めたと思います。
Pythonパッケージ pythermalcomfortの紹介
エンタルピーの算出に使用したPythonパッケージのpythermalcomfortについて紹介します。こちらは快適性に関する指標の算出や空気線図のグラフ化など便利な機能があるので、Pythonを活用した環境分析に活用できそうです。
pythermalcomfortは、CBEにより提供されていて、詳細は下のWebサイトより確認できます。
エンタルピーの算出
エンタルピーの算出にはこちらの関数を使用します。空気温度、相対湿度、大気圧をもとに、エンタルピーなどを算出できます。
下が使用例です。(Google Colabで使用しています。)
戻り値が複数あるので、エンタルピーの指定、単位換算(J→kJ)を行っています。
!pip install pythermalcomfort
from pythermalcomfort.psychrometrics import psy_ta_rh
h=psy_ta_rh(26, 50, patm=101325)['h']/1000
print(h)
52.847910000000006
SET*の算出
こちらのパッケージでは、PMV、SET*などを計算する便利な関数もあります。
下はSET*の算出例です。
!pip install pythermalcomfort
from pythermalcomfort.models import set_tmp
t=set_tmp(tdb=25, tr=25, v=0.1, rh=50, met=1.2, clo=0.5)
print(t)
25.3
おわりに
今後も気象は変わっていくと思いますので、将来の気象変動を見据えた環境設計が重要となりそうです。
下の記事に少し関連した内容があるのですが、気象変動を見据えた気象データなどもあり、設計に活用できるかもしれません。