この記事では、Ladybug Toolsでの空気線図の作成、熱的快適性範囲の可視化方法を紹介します。
Rhino6・Grasshopper、Ladybug Tools1.2.0を使用しました。
はじめに
Ladybug Tools1.2.0より、空気線図に関するコンポーネントが実装されましたので、機能を紹介したいと思います。
旧バージョン(Ladybug0.0.69)での作成方法をまとめた下の記事をベースにしているので、あわせて読んでみてください。
空気線図コンポーネント
以前の記事内で、季節別に色分けをした空気線図の作成方法を紹介しました。同じデータで、LadybugのコンポーネントをLadybug Tools 1.2.0に変更したもの(赤囲み部分)が下のイメージです。(①~③の内容は、以前の記事を見てみてください。)
使い方に大きな変化はないのですが、空気線図を作成するLB Psychrometric Chartコンポーネントがシンプルになり、使いやすくなった印象です。こちらは、熱的快適性を表示する機能が別のコンポーネントに分けられたことが影響しています。(この機能についても後ほど紹介します。)
可視化した空気線図は下のイメージで、デフォルトのタイトル表記、文字サイズが旧バージョンと変わっています。こちらもよいアップグレードで嬉しいですね!
熱的快適性範囲の表示
ここからはPMV(予測平均温冷感申告)をベースとした熱的快適性の範囲を表示するコンポーネントを紹介します。
下のイメージのように、気流速度(_air_speed_)、代謝量(_met_rate_)、着衣量(_clothing_)などを設定することで、空気線図上に熱的快適性の範囲を表示できるコンポーネントです。こちらの熱的快適性は室内環境に主眼を置いていることに注意が必要です。
下の図では気流速度0.1m/s、代謝量1.1met、着衣量を0.5clo(夏想定)、1.0clo(冬想定)、PPD(予想不満足者率)のしきい値は10%、絶対湿度に上限を持たせた設定としています。
LB Psychrometric Chartコンポーネントの_psych_chartアウトプットを、LB PMV Polygonコンポーネントの_psych_chartインプットにつなげると、下のイメージのように熱的快適性の範囲内が表示されます。
熱的快適性の範囲内(オレンジ色の囲み内)であれば、不満足者が少ないという目安になります。
こちらのグラフでは、屋外環境の値を使用したので参考程度ですが、中間期や冬期は日射取得や暖房、夏期は湿度を取り除くと熱的快適性の範囲内に入る環境を増やせる、といった分析に活用できます。
以上、Ladybug Toolsの空気線図関連コンポーネントの紹介でした。